熱交換器以外に有圧ボイラーのメリットはありますか。
無圧温水式木質バイオマスボイラーは、燃焼制御反応が緩慢でかつ炉等の熱容量が大きいため、ボイラー停止命令から燃焼停止までの時間が長く沸騰する危険があるために温水温度を高くできませんでした(Max80℃程度)。特に吸収式冷温水機による冷房を行う場合、吸収式冷温水機の設計基準温度は88℃ですが、供給温水温度が80℃では冷房能力が約55~75%程度に低下してしまいます。一方、有圧ボイラーでは温水温度が100℃でも沸騰しません。また輸入ボイラーには標準的に沸騰防止の冷却熱交換器がついており、沸騰を防止します。このため吸収式冷温水機の定格出力を得る事が可能になります。
今回の規制緩和では0.05MPa(水頭圧5mAq)以下の無圧開放タンクを設置したボイラーは規制対象外と明記され、0.05MPa以下で使用すれば無圧温水機でも蓄熱タンクの直結や吸収式冷温水機直結が可能となりましたが、ボイラーの圧力が低いので限定された使い方になります。
また、無圧開放タンクを設ける場合、水面が空気と接触するために空気中の酸素が水に溶け込み腐食の原因となります。密閉膨張タンクで使用される有圧ボイラーは、温水温度上昇で一度脱気すると水中の溶存酸素が少なくなり、ボイラー缶体の耐久性が増加します。