経済効果の算出

地域経済効果の意義

木質バイオマス熱利用を進めていくためには、それぞれの事業性の確保に加え、環境や地域の経済への貢献について明らかにし、理解を得ていくことが必要です。特に木質バイオマスについては、事業性、経済性については必ずしも有利でない場合も想定され、そのような中で担当される方が関係者に木質バイオマスについて理解してもらうためには、出来るだけ定量的に木質バイオマスの多様な効果を説明できることが必要です。

木質バイオマス利用は、燃料の生産から加工、消費までが一定の地域内で行われ、それぞれの工程ごとに付加価値が発生します。木質バイオマス熱利用の工程ごとの付加価値、地域経済に与える影響を評価するのが地域経済効果の算出です。このことにより、地域において木質バイオマス熱利用を行うことの意味がより明らかになります。

地域経済効果分析の手法

地域経済効果の分析は、一般的には産業連関表を用いてなされますが、これは比較的マクロな経済圏での大まかな産業分類によっており、木質バイオマス熱利用というレベルにはそぐわないものとなっています。そのため、より小さい地域レベルの分析方法として取り上げているのが、LM3と産業連鎖分析です。

LM3とは、ある地域内で事業を開始したことで循環する付加価値を取引の3巡目までさかのぼり、各取引で生まれ地域内に還元される調達費や地域住民の所得等を計測し、評価する手法です。

もう一つは産業連鎖分析です。この手法は、再生可能エネルギー事業の設計、工事、運転・維持、事業マネージメントの各工程でのサプライチェーンを整理し、各工程に関与する事業者から生まれる利潤、従業員の給与、事業者と従業員によって支払われる税収入を合計して地域経済効果を算出するものです。

この手法では、連鎖のイメージを具体的に把握することができるので、この手法を取り組むことが望まれます。この手法については、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針の手引き(実践編)」に詳しく紹介されています。

木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアル 実行編 図11-15より

関連ページ

NEDO「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針」