熱負荷分析
ボイラーや蓄熱タンクの規模を決定するためには、熱負荷分析が重要です。
熱負荷分析には、「最大熱負荷計算」と「年間熱負荷計算」があります。
ただし、木質バイオマスボイラーでは「最大熱負荷計算」による最大熱負荷に対応するボイラーでは過大な規模になります。木質バイオマスボイラーでは、熱負荷対応が緩慢で蓄熱タンクを設けて対応するとともに、ボイラー最低出力以下の熱対応が困難であることを踏まえ、木質バイオマスボイラーに即した熱負荷分析をすることが必要です。
そのため、「年間熱負荷計算」によることになりますが、特に、時刻別熱負荷の変動を考慮しなければなりません。そこで、年間の時刻別熱負荷発生を並べた「熱負荷持続曲線」を作成してボイラー規模を設計します。
なお、「最大熱負荷計算」は補助熱源機器等の組み合わせによる総合熱供給量の規模を設計する場合に利用します。
下図は、負荷持続曲線によるボイラー規模を想定した事例です。ここで、ボイラー規模の30%は最低出力ラインでボイラーからの熱供給が不可能となります。
ここについては、蓄熱タンクで対応することになります。
負荷持続曲線
木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアル 実行編 図10-6より
ボイラー規模の想定がされると蓄熱タンクの容量を想定します。
その考え方を整理し例示したのが下図です。
熱供給バランスグラフ
木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアル 実行編 図10-10より
これは、1日の熱負荷変動に対して、熱負荷の少ない時に蓄熱されてそれによって負荷の大きい時に対応ようにしていることを表しています。それにより、蓄熱タンクの容量が求められます。
熱負荷分析については、データの推計・把握やその分析に専門的知識が必要となるため、コンサルタント等で基本設計の段階で行われることになりますが、事業者(発注者)としてはどのような熱負荷分析が行われ、どのようにボイラーや蓄熱タンクの規模が導き出されたかは説明を受け確認していくことが望まれます。
熱負荷分析はボイラーシステムの基本を決めるものなのです。