コラム WOODBIO

教育関係者必見!

教育教材としての木質バイオマス熱利用

本稿は、教材としての木質バイオマス熱利用の魅力をご紹介します。
学校やイベント等で“すぐに”ご活用いただける教材です!

1.はじめに

「2050年カーボンニュートラル」に向けて産官学が取り組みを進めているところですが、様々な情報があふれるこのご時世、正しく理解する力の養成が求められています。

木質バイオマスの(熱)エネルギー利用を取り上げる場合、「林業」や「エネルギー自給」に関する教科での取り扱いが少ないのが実態です。例えば、高等学校における科目「林産物利用」では、継続して木炭に関する内容は取り上げられているものの、エネルギーとしての価値や利用法、木炭以外の熱エネルギー利用までは触れられていないのが実情です。

応用学習として木質バイオマスの(熱)エネルギー利用を教材とすることは不可能ではありませんが、限られた学習時間でどのように展開するかが課題といえます。

2.開発した教材

教育現場への普及を意図した教材(テキストと講義資料)を開発しました。

これらには、①エネルギー利用の変遷、②木質バイオマスの(熱)エネルギー利用の可能性、③木質バイオマスエネルギー家計簿、が含まれています。木質バイオマスエネルギー家計簿は、環境省が提唱する環境家計簿を応用したものです。

各家庭のエネルギー利用実態に着目し、①把握、②木質バイオマス利用への展開、③森林資源の育成と整備、について考えることに展開が可能なものです。各家庭でエネルギー消費に使われた支出を把握し、地域経済への貢献について考えることが可能です。ワークシートを活用し、思考や作業ステップを段階化する工夫を施しています。

作成したテキスト「私たちのくらしと木質バイオマスエネルギー」一部抜粋

3.教材は中学校から大学・林業大学校まで、各ステージで利用可能!

開発した教材を用いて、各地の中学校や高等学校、大学、林業大学校に出向き、実践してみました。

木質バイオマスエネルギー家計簿は、各家庭の実際のエネルギー消費量を基に計算するので、特に一人暮らしをしている大学生以上にはより身近に感じてもらえたようです。また、座学部分はSDGsや地球温暖化問題と関連して講義が展開できるように設計していますので、スムーズな導入・展開が可能と感じたところです。開発した教材は実際の教育現場でご活用いただき、「学校教育に導入したい」、「副読本(参考資料)として活用したい」などの感想をいただいています。

多くの都道府県に設置されている林業大学校からもご関心をいただいているところです。

エネルギー利用体験の様子

開発した教材に加え、例えば森林や木質バイオマスエネルギー利用に関わる映像資料による視覚的な学習、木材の伐採や加工、燃焼などの実習(体験活動)と組み合わせることにより、イメージをより具体化することができます。

学習者が最も身近に、そしてリアルに体感できるのは熱利用であり、食と関連付けることで満足度も高くなります!
先の実践では、受講生に火起こしに挑戦してもらい、起こした火でマシュマロを焼いたり、ポップコーンを作ってみました。体を動かしつつ、味覚でも実体験することは大きな効果が期待できます。

4.おわりに

開発した教材は学校教育でご使用いただくことを想定して作成しましたが、エネルギー利用事業者や自治体、環境活動実施者等にもご活用いただけます。

今後は、更なる教材の充実化や教育プログラムのパッケージ化を目指し、木質バイオマス熱利用に対する理解促進に寄与できればと考えています。

■参考情報

教材はこちらのサイトからダウンロードしてください:

 https://jwba.or.jp/activity/woody-biomass-education/ (一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会ウェブサイト)

謝辞:
ご紹介したテキストは、「平成30年度森林林業振興助成事業」((一財)日本森林林業振興会)の支援を受けて作成しました(事業名:木質バイオマス利用の意義を国民に普及する事業)。記して御礼申し上げます。

執筆者

前川洋平 (地独)北海道立総合研究機構 森林研究本部 林産試験場(WOODBIOシニアアドバイザー)